認知症介護施設として・戦略と戦術
今、行政に求められる課題は
「北さんち」で重度認知症のある方に一切拘束しないために
戦略と戦術から見る介護事業
よく言われる話だが、戦争は戦略と戦術がそろわないと勝てない。
戦略とは、どこに戦場を設定し・どれだけの兵力を投入し・どんな目標を設定するかである。つまり、戦争をする時の外枠の条件を決めることでお弁当で言えば弁当箱と食材にあたる。
対して戦術とは、戦場で作戦を立て、臨機応変に兵を動かす技術を指す。それはお弁当で言えば、中身のおかずにあたる
材料が乏しかったり・弁当箱が小さすぎれば・いかに料理の得意な人が作っても満足できるものは作れない。ただこれは、料理の腕次第である程度カバーできる。反対にいくらいい素材と良い弁当箱があっても、料理の腕が悪ければ台無しになってしまう。
この戦略にあたるのが、介護保険の施設と人員基準とサービス単価である。そして戦術にあたるのが、職員と経営者の介護理念と介護技術(コミニュケーション技術を含む)と言うことになる。
全ては「利用者ありき」
介護では先ず「利用者ありき」で、その人の自己決定を尊重し、カタルシスを獲得させる為に多様な介護サービスを組み合わせて提供する。
「北さん家」では、重度認知症のある方にも一切拘束をしない。しかし「グループホームとは、共同生活ができることを前提とする」ために、職員基準が限られてくる。身体機能にほとんど問題がない重度認知症の人の場合、グループホームから外へ出ると職員が付いていく。しかしそれも入所者9人中せいぜい1人が限界で、そんな人が2人いれば破綻せざる終えない。
ただ「拘束はだめ」は間違っているのか
軽度認知症の方が重症化していくことも考慮に入れると、厚生労働省の戦略レベルで提供できるグループホームサービスに限界が見える。身体機能が全く正常で重度認知症の人は、大規模施設で拘束せざる終えない現状を抜きにして、ただ「拘束はだめ」だと言うのは間違っているのではないだろうか。ただし、ここで言う「拘束」とは、回廊式廊下による拘束や薬剤による拘束も含まれる。
そういった意味で今後、厚生労働省の戦略レベルでの対応が求められていくような気がする。