認知症介護・予防講演・研修|認知症は恐くない

認知症介護施設として・大規模施設の限界

大規模施設の限界を解説

福祉は個別化された「利用者本位」

海外から見る日本の福祉

今までの老人福祉は特別養護老人ホームなどに代表される大規模施設が担ってきた。福祉先進国と言われる北欧諸国でも昔はわが国と同様であり、彼らが日本の福祉を見ると「私達も百年前はこうでした」とのたまう。

現在、世界の福祉先進国は大規模施設を否定している。そしてその根拠は大規模施設の限界である。

利用者を個々に理解する「個別化」

福祉という薬草を煎じていくと、個別化という薬が出来る。この薬は老人福祉だけでなく障害福祉・児童福祉にも効用を発揮する妙薬 となる。いくら高価な入れ物(施設)が有ろうと、薬(個別化)が無ければ役に立たない。では、どうして個別化が必要なのだろう。

介護の理想は上記のとうり「利用者本位」である。利用者本位とは「利用者が求める物を提供する」と言うことであり、利用者を個々に理解して いないと提供できない。これが「個別化」である。

大規模施設の限界は、個別化不可能と言うことに尽きる。

大規模施設と個別化対応の限界

100人の利用者に対し、職員が10人では手が回らない。これが大規模施設の 限界だと思い込む。では職員を100人にすれば問題は解決するかと言うと解決しない。何故なら、いくら職員対利用者の比率が一対一 になった所で、一人の職員は100人を個別化(理解)せねばならないからである。

この人はこんな人で、今こんな状態だからこの様な 介護が要る、、、などと、100人相手に把握しきれる物ではない。しかも相手は生き物であるから、状態は刻一刻変化するのである。

では、100人の利用者を10のグループに分けて職員を専属に配置すればいいじゃないかと言う人がいる。じゃあ、日勤・夜勤・早番・ 遅番のローテーションのなかで、あんたやってみなさいよ!当直の見回りの時、うろついている利用者を「私のグループじゃないから」 といってほって置くような人間は介護職ではないんじゃないの?、、、と言うことになる。

個別化を考えるとき、介護保険で最も問題になるのがデイサービスである。何故なら30人規模のデイサービスの利用者は(一人の 利用者が一週間に2回利用するとしても)30人*7日/2回で105人となり、それを交代勤務の無いデイサービス人員基準でカバー する。

この条件で個別化しなさいと言うほうが間違っており、これが大規模施設における介護限界の最右翼である。